【熊本県花の香酒造】全量地元産で仕込む日本酒で世界を魅了

日本酒の変態 KAZU

唎酒師(ききさけし)の資格を持つウマヅラの男。どうも日本酒の変態 KAZUです。寝ても覚めても日本酒のことばかり考えて生活中。

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熊本県和水町(なごみまち)にある花の香酒造は、地元の米や水などをめいっぱい活かした酒造メーカーです。

もしかして、日本酒なら地元産の米なんて当たり前と誤解していませんか?実は、米の産地にまでこだわる日本酒はそう多いわけではないんです。意外ですよね。

産地を限定すると大雨などの影響を受けやすくなったり、米の量を確保するのが大変になったりするんです。それでも花の香酒造は地元産にこだわり、それでいて世界の中でも高く評価されてたくさんの賞を受賞しています。

しかもそれに満足することなく、もっと挑戦を続けるという探求心はあっぱれです。今回は熊本県の花の香酒造の魅力を様々な角度から見ていきましょう。

この記事を読んだら、日本酒を味だけでなく日本酒が出来上がるまでのストーリーも込みで楽しめるような、ちょっと深みの増した大人になれるかもしれませんよ。

花の香酒造は和水地方(なごみ地方)の土地の恵みにこだわる

米にこだわる

花の香酒造は必要な米のすべてを地元の熊本県和水町(なごみまち)のたんぼで栽培しています。熊本県和水地方は古くから米作りがさかんで、その歴史は2000年にもなります。古墳などの遺跡も有名なんですよ。

歴史があるということは、熊本県和水地方は水や土や四季の移ろいが調和しているってことなんですよね。

そして、花の香酒造は天候・地質・水質・微生物エコシステムをこんなキーワードで表現しています。それは『産土(うぶすな)』。

花の香酒造は土地の風土をとても大切にしているんです。だから、すべての米を和水産にしているんですね。

水にこだわる

花の香酒造が使う水は代々守り継いできた神社の井戸水。神聖な水で、おいしそうですね。和水町は熊本県の有名な阿蘇山から40km離れている場所ですが、なぜいい水が湧くのでしょう?

普通おいしい湧き水と言えば、山のてっぺん付近とか少なくとも山の近くですよね。和水町は阿蘇山から離れているから普通ならおいしい湧き水がとれる位置関係ではありません。

それなのにおいしい水が湧くのは、9万年前の阿蘇山の噴火が関係しているのです。和水町には阿蘇山の火砕流が流れ込んだ地層があって、その地層が水をゆっくりと浄化しながらたくわえるという役目をはたしているんですね。

自然の力ってすごいですよね。この地層のおかげでおいしい井戸水があるというわけです。

日本酒造りに必要な米や水がこんなにいい条件でそろう土地は熊本県の中でもなかなかありません。和水町には豊かな産土があるんですね。

人が日本酒を導き出す

米や水の恵みがたっぷりとある熊本県和水町。自然の恵みをうけて米が育ち、水が湧き、米と水がであって、人が米から日本酒を導き出すという自然と調和したお酒。

この「導き出す」という表現も花の香酒造ならではですね。「造る」だと人工的なもののように感じますが、「導き出す」だともともと米がもっていた素質を引き出したという感じがします。

これが花の香酒造の産土の要素でもある『醸し(かもし)』の思想。米から日本酒を導くのが人なんですね。

日本酒を完成させるまでの道のりは選択の連続です。いつ何をどのようにするのか、選択する数もタイミングもたくさんあります。もしかしたら、日々選択の連続なのかもしれません。

そしてどの道を選ぶのかはすべて人次第。どの道を選ぶかで日本酒のできあがりは決まります。完成まで緊張の連続でしょう。

花の香酒造の醸しの思想は、自然と日本酒と人が織りなす一つの物語なんですね。ずっと昔から変わらない雄大な景色の中の人間の営みって時空を超えたロマンにあふれてます。変わらないものと変わるものが混ざり合って日本酒ができてるんですね。

だから、日本酒はアートであり伝統工芸のようでもあると6代目は話しています。花の香酒造は、原点は伝統でありながら、時代とともに醸しで進化しています。今日も従来の概念にとらわれないで酒造りを探求し続けています。

花の香酒造は世界からも高評価

花の香酒造は順風満帆だったわけじゃない

創業から100年、花の香酒造は順風満帆なように見えますが、実はここにたどりつくまでいろいろな苦労があったんです。ここで花の香酒造の歴史を見てみましょう。

花の香酒造は、1902年(明治35年)の創業以来100年以上にわたって、地元で愛されて着実に実績を積み重ねてきました。しかし、2000年代になると状況は変わります。

生活様式や食の好み多様化し、日本酒は以前のようには売れなくなってしまいます。途中、焼酎ブームにのって焼酎の製造が好調だった時もありますが、やはり経営は悪化してしまいます。こんな状況じゃ胸が苦しくなりますよね。

そのような状況の中、2011年(平成23年)に花の香酒造6代目が社長に就任し、世界に通用するsakeを意識した新たな可能性を求めるチャレンジの旅がはじまります。

蔵人を連れて、獺祭(だっさい)で有名な旭酒造に修行を申し入れると、事情を聞いた旭酒造は快く受けてくれました。修行を受け入れる旭酒造の懐の深さも胸を熱くさせますね。

そして、杜氏一人に頼らない酒造りの道筋を見出した六代目は、新たな純米大吟醸をつくることに成功します。

それからの花の香酒造は、世界での受賞、全量地元産の米での酒造りなど着実に挑戦を成功させていきました。設備投資も積極的にして、修行からわずか3年で製造量は10倍に!人気も売れ行きもぐんぐん伸びて現在に至ります。

修行を申し出ることも、新たな道を見つけることも、相当な覚悟がないとできないですよね。なんとかして苦しい状況を突破しなければという六代目の真剣な思いがあったから、道が開けたんだと私は感じました。

花の香酒造の受賞の数々はこちら

花の香酒造は6代目のもと、現代のライフスタイルに合わせて食事と相性がいいお酒をつくることを目指しています。その結果、2014年から数々の国際的な賞を受賞しているんです。

花の香酒造の受賞実績

2014年 iTQi2014 花の香702スパークリング 国際優秀味覚賞

2015年 iTQi2015 純米大吟醸花の香桜花 優秀味覚賞 高位三ツ星

2015年 ロンドン酒チャレンジ 金賞ゴールド

2017年 国際優秀味覚賞 最高位三ツ星

2017年 インターナショナルワインチャレンジ 銅賞ブロンズ

2017年 フランスKURAMASTER 審査員特別賞

2017年 仙台日本酒サミット 第1位

2018年 SAKEselection2018 花の香和水 花の香花火 シルバー賞

2019年 ワイングラスでおいしい日本酒アワード 梅花 花火 和水 最高金賞

イギリスやフランスの国際的な賞を数多く受賞していて、とても華やかな受賞歴ですね。こんなにいろいろな賞に出品することも難しいことなのに、これを毎年のように続けているなんて、本当に花の香の熱意があらわれていますよね。

熊本地震も乗り越えて花回廊&花香酔人

2016年にあった熊本地震で花の香は母屋と酒蔵が損傷を受けました。それでもただでは起き上がらないのが花の香酒造です。

2019年に「花回廊&テイスティングバー花香酔人」として生まれ変わりました。

花回廊写真家ハービー山口氏が撮影した写真が展示してあります。そこに写っているのは地元和水町の人々で、お米を作る人、お酒を醸す人、未来を描く人。そこからも酒造りのストーリーが感じられます。

麹廊下では麹室の中を見ることができて、職人の丁寧な手仕事を身近に感じることができます。酒蔵の手で麹を仕込んでいる様子は気になりますよね。普段米とぎをしたりおにぎりをにぎったりする程度なので、麹は未知の世界です。

そして、テイスティングバーの花香酔人。ここでしか飲めない限定の日本酒もありますよ。好みのお酒を選んでテイスティングできるバーカウンターがあり、梅の古木も楽しめちゃいます。

ちなみにこんなツイッターがあったのでご紹介です。

結構大きなグラスで、しっかり味わえそうですね。問題は現地までの交通手段でしょうか。自力で行くならドライバーさんにひたすら感謝ですね。みんな飲みたいときは公共交通機関&タクシーで行くとしましょう。

花の香酒造のチャレンジはまだまだ続く

日本酒の新たな可能性を見つける

花の香酒造は、江戸時代の肥後米のひとつ「穂増(ほませ)」を江戸時代と同じ自然農法で栽培して生酛づくりで日本酒を造ることに取り組んでいます。

品種改良前の米って育てにくそうだし収穫量だって少なそうで、なんだか大変そうですよね。それでも取り組むのはなぜでしょう?その疑問に6代目はこう答えています。

日本酒がまだ出会っていない何かがある、その可能性に価値と魅力があるのだ、と。日本酒のブルーオーシャンを求めて、花の香のチャレンジは続きます。花の香酒造の中でもチャレンジングなシリーズを紹介しますね。

古代米シリーズ穂増

引用:花の香酒造

穂増は江戸時代にたくさん作られた米の品種だけど、今では幻の米になっていた米です。わずかに残っていた種からみごと復活させ、生酛づくりで仕込んだ古代米シリーズ「穂増」

この地でしかできない珍しい日本酒で、味わいも複雑で奥深いのが魅力です。他にはない、他ではまねができないって強いですよね。

IDOMIシリーズ花火

引用:花の香酒造

瓶内で発酵させて自然の炭酸ガスを瓶内に閉じ込めた「花火」SAKEselectionやワイングラスでおいしい日本酒アワードで受賞している日本酒です。

老香(ひねか)をあえて作り出し炭酸ガスと調和させることで独特の香りを余韻として楽しめる、花の香ならではの日本酒です。熟成されたお酒と炭酸ガスの組み合わせは、まるでシャンパンみたいですね。

花の香「香」シリーズ梅花

引用:花の香酒造

花の香酒造の名前は、創業期に梅の古木から蔵に香りが漂ったことに由来しています。梅が春に先がけて蕾をつけるように、梅花も洗練された酒質と豊かな香りで楽しませてくれます。花の香シリーズの中でもギフト限定の日本酒です。

まとめ

  • 熊本県の花の香酒造は地元和水町産にこだわった日本酒を造っている
  • 受賞歴がたくさんある
  • 江戸時代の米を復活させたり自然農法で稲作をしたりチャレンジング
  • 日本酒の新たな魅力を求めて挑み続けている

いかがでしたか?花の香酒造は、ここにしかない日本酒まだ見ぬ日本酒を探してあくなき探求を続ける酒造です。

花の香が提案する新たな日本酒がいつか当たり前の日本酒になる日がくるかもしれません。どんな新しい日本酒がでてくるのかわくわくします。

おいしいものはいつでもどこでも大歓迎なので、日本酒の新境地をどんどん開拓していってほしいですね。

サイト管理人プロフィール
  • 名前:KAZU
  • 正体:普段は会社員として働いている、しかし仕事をしながらも頭の中では日本酒のことしか考えていないウマヅラ男
  • 保有資格:唎酒師
  • 趣味:日本酒を飲む、日本酒を眺める、日本酒飲みながら風呂に入る、飲んだ日本酒のラベルをコレクションする
  • 覚醒のきっかけ:寒い冬の夜に飲んだ熱燗があまりにも美味しく、そこから私の日本酒愛が始まった
  • 詳しいプロフィールはこちら→【プロフィール】日本酒が変態的に好きすぎる男

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