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一年にたった一度しか蔵出しされない、特別なお酒。それだけで思わず喉が鳴りますよね。熊本県の酒蔵・瑞鷹の「純米大吟醸 汲みたて」もその一つです。 こちらは、寒さが一番厳しい時期に仕込みをした無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)で 、出荷されるのはタンクたった1本分だけ。
時期限定なだけでなく、数量限定の貴重な日本酒です。この記事では、この「純米大吟醸 汲みたて」について、口コミを交えながら味わいについてご説明していきます。
- 瑞鷹「純米大吟醸 汲みたて」に興味がある
- 瑞鷹のお酒が好き
- 新酒、生酒、原酒に関心がある
- 日本酒に馴染みがないが、美味しい日本酒を探したい
Table of Contents
「純米大吟醸 汲みたて」の特徴について
茶色の瓶に、手書きのようなフォントのラベル。シンプルで素朴なパッケージは、まるで「原酒」の荒々しさを表しているかのようです。
まず初めに、ラベルデータからご案内します。
品目 | 日本酒(純米大吟醸酒) |
---|---|
内容量 | 740ml |
原材料名 | 米(国産)、米こうじ(国産米) 【原料米:山田錦】 |
アルコール分 | 17度 |
精米歩合 | 48% |
予約でしか買えないこの日本酒は、毎年2月辺りが出荷の目安。タンク一杯で一升瓶1800本ほどができますが、たったそれだけが一年分の量なのでやはり貴重ですね。
それではさっそく、この「純米大吟醸 汲みたて」の味わいについて詳しく見ていきましょう。キーワードはこの三つ。
- 無濾過生原酒
- 新酒
- 搾りたて
味わいを知るためにも三つのキーワードを押さえましょう!
無濾過生原酒とは?
キーワード一つ目は「無濾過生原酒」。 そのままの意味ですが、分解すると 、「無濾過」+「生酒」+「原酒」となります。
無濾過とはそのままの意味で、「濾過していないお酒」のこと。濾過をしていないので深く、ずっしりとした味わいになる傾向が強いです。濾過の意味合いは「香りや味わいの調整を取り、バランスの良い状態にすること」「日本酒の品質を保つため」などがあります。また、濾過するとクリアなお酒になりますが、無濾過だと残留物が残るので、にごりが出ます。
生酒とは、火入れを一度もしていないお酒のことです。通常、日本酒は品質保持のために2度の火入れと呼ばれる「低温加熱殺菌」を行っています。これにより、瓶に詰めた後でも発酵し続けてしまう酵素の働きを止めることができるのです。火入れを行わない生酒はその分劣化しやすく、新鮮さが命となりますが、そのフレッシュな味わいは火入れしたものでは出せません。
原酒とは、加水をしていないお酒のこと。本来搾ったばかりの日本酒は、アルコール度数が17~20度と高めです。これを一般的な度数である15~16度にするために、水を加えアルコール度数を調整して販売しています。そのため、原酒はアルコール度数が比較的高めのものに仕上がります。日本酒本来の旨味や香り、濃い味わいが特徴のものが多いです。
無濾過生原酒とはつまり、「ずっしりした味わい」だけれど「新鮮さが命」で、「アルコール本来の味わい」が楽しめるお酒のことです!
生酒についてはより詳しい記事がこちらにありますので、よろしければ参考にご覧くださいね。
新酒とは?
キーワード二つ目は「新酒」。新しい酒と書いて「シンシュ」という言葉。お酒が好きな方ならご存じの方も多いでしょうが、簡単に説明していきます。
「新酒」というくらいだから初めのお酒なんじゃないの?と思われた方。では、そもそも日本酒造りの一年は何月から始まるのか、ご存じでしょうか。正解は7月です。7月から始まり、翌年の6月30日までが1年の区切りとなっています。
ざっと一年の流れをご説明すると、こんな感じです。
5月〜6月:米の田植え
7月:酒造年度が始まり、用具のチェックなどを行う
9月〜11月:米の収穫や精米
12月〜3月:本格的な仕込みの始まり(寒い時期に醸造するので寒造りと言われます)
4月:貯蔵、田植えの準備
こうやって作られるお酒の中で、新酒は、米を収穫したのと同じ年度に出荷するお酒のことを指します。それというのも、大半のお酒は貯蔵して寝かせ、翌年に改めて火入れをして出荷しています。
とはいえ、実は「新酒」と言う言葉に明確な定義はありません。上記の他にも「春一番に出す日本酒」であったり、「立春に搾った日本酒や立春に出荷する日本酒」を指すこともあるのです。
新酒は基本的にまだ醸してから日が浅く、熟成が進んでいません。そのため、深い味わいや熟成香はあまり強くないことが多いです。しかしその分、米の香りや爽やかさは強めです。また、炭酸ガスを含んでいるので発泡感があるのが特徴です。
新酒に明確な定義はないものの、「熟成が進んでいない分、爽やかで発泡感のあるお酒」が多いんですね。
搾りたてとは?
キーワード三つ目は「搾りたて」です。日本酒造りの後半に、できあがったもろみを酒と粕に分ける工程があります。これが「搾り」です。文字通りですが、絞ってすぐに出荷されたものが「搾りたて」になるのです。
新酒搾りたての味わいの魅力は何と言ってもフレッシュさ。フルーティな香りや爽やかですっきりとした飲み口が特徴です。とはいえ空気に触れると一気に発酵が進んでしまうデリケートなお酒。冷蔵庫で保管し、すぐに飲み切る必要があります。
ちなみに「純米大吟醸 汲みたて」は空気に少しでも触れないよう、720mlの瓶を使用しているものの、口元まで目いっぱい740ml詰めているそうです。搾ってそのままなので、微かなオリが混じり、発酵中の炭酸ガスも含んでいるので、蔵元で飲むそのままの味を楽しめるのです。
透明ガラスに入れると微かなにごりも見えるようですよ。
搾り口から垂れるお酒をそのまま瓶に詰めているってすごいですよね!発酵が進んでいない分フレッシュで爽やかなので、日本酒初心者にも飲みやすいんですよ。
「純米大吟醸 汲みたて」の評価について
さて、ここまで「無濾過生原酒」「新酒」「搾りたて」と三つの特徴を説明してきました。それではこの特徴を兼ね備えた「純米大吟醸 汲みたて」。飲んだ方の印象はどういったものでしょうか。
瑞鷹 純米大吟醸 しぼりたて無濾過生原酒 汲みたて。熊本の銘酒瑞鷹の無濾過生原酒。まだまだ被災地応援しますよ。ほんの少しだけ微発泡なのでピリッと来た後に原酒らしい荒々しい旨味が広がる。美味しいなあ。 https://t.co/oulZQY4UTX pic.twitter.com/t7rtFzJnej
— ビニールタッキー (@vinyl_tackey) February 12, 2017
新酒ならではの微炭酸、その味わいの後に来る原酒の力強さ。いいとこどりの贅沢な一本という感じがしますね。
あては友人から頂いた、熊本の瑞鷹、純米大吟醸しぼりたて無濾過生原酒汲みたて。フレッシュな味わい。少しキリッとした辛口。 pic.twitter.com/ooQZ2csLC6
— ペドロ・ウミンゴ (@umi38) February 8, 2014
こちらの方はフレッシュでキリッとした味わいを感じたそう。新酒搾りたてならではのフレッシュさがあるので、度数の割には案外サラッといけそうですね。瑞鷹株式会社の紹介では、社内他商品と比べて「辛口」の味わいがかなり強めのようなので、お米の甘い味わいよりもアルコールのグッと来る舌ざわりがキリッと感を生み出すのでしょう。
キュータローの備忘録
— キュータロー (@Qtaronak) June 25, 2020
瑞鷹 汲みたて 純米大吟醸生原酒
憧れの地、瑞鷹の蔵のショップで入手。微発泡、ちょっとオリが入ってる。さっぱりしていて著しくうまい。日本酒expが足りない俺はギュンギュン飲むのみだったが、レベル足りてる妻は分析をしている。風の森の生原酒よりさっぱりあっさりらしい pic.twitter.com/8WuBQIFvW4
無濾過ではあるものの、やはり搾りたて新酒なので、重たい味わいよりは新鮮でさらっと飲みやすい飲み口が特徴のようですね。
- 微炭酸のチリチリ感
- 原酒の力強さ
- 搾りたて新酒のフレッシュさ
度数は17度と高めなのでアルコールが得意でない方にはおすすめできませんが、フレッシュな飲み口は日本酒に馴染みがない方にも飲みやすそうです。
使用している酒米、山田錦について
美味しいと評判の高い「純米大吟醸 汲みたて」。使用しているのは、山田錦という酒造好適米です。このお米は酒米における人気品種で、生産量No. 1を長らく占めているもの。そのため、ご存知の方も多いと思います。
この山田錦の特徴についても少し見ていきましょう。
酒造好適米の条件
まず、酒造好適米になるためにはこのような条件を満たすお米でなくてはなりません。
酒造好適米の条件
- 粒が大きいこと
- 心白があること(米の中心にある白濁した部分のこと)
- タンパク質・脂肪が少ないこと
- 水の吸水性がいいこと
日本酒は精米のために削られてしまいます。そのため、それに耐えうる粒の大きさが必要です。山田錦は栽培は困難なものの、粒や心白が大きい、酒造りに向いたお米であるのです。
ちなみに「純米大吟醸 汲みたて」の精米歩合は52%。通常の日本酒の原料米ですと大体30%ほどなので、より大きな粒が必要になることが分かるでしょう。とはいえ、原料米の量が普通の酒より多く使用されるので、少しお値段は上がってしまいます。
半分ほども削っちゃうなんてもったいない気がしますよね。しかし外側をきちんと削っておかないと、雑味になり、味わいが損なわれてしまうのです。
精米歩合について、より詳しいことが知りたくなったあなたはこちらの記事も是非どうぞ。
山田錦で作ったお酒の味わい
山田錦は様々なところで作られていますが、一番人気は兵庫産のもの。山田錦で醸したお酒は、しっかりとした味わいで男性的・バランスが取れたお酒が多いです。粒が大きいので、お米の味わいやコクが感じられるのも特徴です。
ちなみに、山田錦以外のお米の特徴はこちらの記事に詳しく載せています。
まとめ
ここまで、「純米大吟醸 汲みたて」の味わい、そしてそれを形作る酒米・山田錦について見てきました。年にたった一度しか味わうことのできない特別な一本。今すぐにでも飲んでみたくなったのではないでしょうか。
それでは、この記事のまとめです。
- 無濾過生原酒
- 新酒かつ搾りたて
- 微炭酸でフレッシュながら、原酒の強さも感じる味わい
- 酒米として人気のお米・山田錦で造られている
一度逃したら、次に出会えるのは一年後。その味わいは試してみる価値がありますね。
サイト管理人プロフィール
- 名前:KAZU
- 正体:普段は会社員として働いている、しかし仕事をしながらも頭の中では日本酒のことしか考えていないウマヅラ男
- 保有資格:唎酒師
- 趣味:日本酒を飲む、日本酒を眺める、日本酒飲みながら風呂に入る、飲んだ日本酒のラベルをコレクションする
- 覚醒のきっかけ:寒い冬の夜に飲んだ熱燗があまりにも美味しく、そこから私の日本酒愛が始まった
- 詳しいプロフィールはこちら→【プロフィール】日本酒が変態的に好きすぎる男
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唎酒師(ききさけし)の資格を持つウマヅラの男。どうも日本酒の変態 KAZUです。寝ても覚めても日本酒のことばかり考えて生活中。
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