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日本酒造りの一切を取り仕切る責任者、杜氏。どんなイメージを持ちますか?
なんとなく、堅実で寡黙で…仕事熱心な、男性像が思い浮かぶよ!
しかし、日本全国には女性の杜氏もいらっしゃるのをご存じでしょうか。全国には1500の日本酒蔵元があると言われますが、そのうち女性杜氏の蔵元はたった50あまりなんです。とても貴重だと思いませんか?
ご紹介するのは福岡の「若波酒造」。九州の日本酒では初めての女性杜氏が誕生し話題になりました。
九州の数ある銘酒がひしめく中、女性杜氏を擁する「若波酒造」について知れば、日本酒通に一歩近づけますよ!
女性禁制だった時代もあったと言われるこれまでの酒蔵。しかし酒文化も現代に沿うように、革新的な変化が進んでいます。女性杜氏ならではの新しい視点で造られるお酒もその一つ!
伝統に重きを置きながらも、新しい日本酒造りに挑み続ける蔵元と女性杜氏をご紹介します。
どんな素晴らしい蔵元なのかしら!
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Table of Contents
「 若波 」の蔵元はどこにある?
福岡県南西部、大川市にある1922年(大正11年)創業の蔵元「若波酒造」。蔵のすぐ傍には筑後川があります。
”坂東太郎”と呼ばれる利根川に続き、”筑紫次郎”という異称を持つ筑後川は、九州最大の河川。悠々とした流れは地域の人々に豊かさをもたらし、歴史や文化が育まれてきました。
大川市は筑後平野の中央にある穀倉地帯で、筑後川の豊富な水量と肥沃な土地に恵まれています。そんな米どころで若波酒造は約100年も日本酒を造り続けている老舗です。
おいしいお酒には、いいお米とお水が必要不可欠なのね♪
「 若波 」(わかなみ)とは?
「若波酒造」は蔵元ですが、「若波」という商品名もあるんです。二つの意味を整理しましょう。
”若波酒造”
若波酒造には、実は名前の由来があるんです。杜氏の苗字ではないんですね。
実は、筑後川の波の輝きからきているんです。なんだかロマンチックですね。地元を慕う気持ちが伝わるような屋号です。
明治26年 今村本家酒造として大川の地に創業
大正11年 若波・万代鏡・金の井の3蔵に分家
蔵の前を流れる筑後川(別名:筑紫次郎)の金波銀波に輝く
若々しい波の姿から「若波」の銘を受ける。
引用:若波酒造Facebook
商品名” 若波 ”
「若波」は、若波酒造の既存ブランド商品です。そして、2010年(平成22年)新しく生まれ変わりました。名前はそのままに、酒質を徹底的に改良したのです。
新しい「若波」のコンセプトは「味の押し波・余韻の引波」。印象に残る魅力的なフレーズですね。
居心地よく波に漂うかのごとく、波のように押し寄せる味わいと、スッと引いていく余韻を表現しています。なめらかで軽やか、上品な果実味とキレのよさが特徴です。
また、お酒が食事より主張しすぎないのも特徴で、食中酒に最適な美酒です。日本酒初心者の方にも、受け入れられやすそうですね!
斬新なコンセプトだ! 波に漂うような味わいに、酔いしれてみたいな!
九州の日本酒蔵で初めて! 女性「杜氏」誕生
その新しい「若波」を生み出したのが、8代目杜氏兼製造統括として活躍されている今村友香さんです。実は、若波酒造がご実家なんです。
杜氏になるまでの経緯や、商品開発へのチャレンジ、名実ともに認められた受賞歴など、まとめてご紹介いたします。
蔵元の次女として
老舗の日本酒蔵に生まれた友香さん。酒造りの世界は女人禁制ため、実家であっても子供の頃は蔵に足を踏み入れたことはありませんでした。
ただ日本文化に興味を持っていたので、京都の大学に進学し日本文学を学びます。卒業後は舞台の仕事に就く予定でした。
ところがお父様が体調を崩されたため、一年だけ蔵に来て手伝ってほしいと頼まれ、2002年の春やむを得ず帰省します。
帰省、日本酒造りへ目覚める
蔵が眠っている時期の事務仕事を任されて、モチベーションは上がらない日々。やがて秋口になり、本格的に酒造りが始まります。
実家でありながら初めて蔵入りした友香さん。酒造りの過程を目の当たりにして心から感銘を受けます。醪の発酵過程の面白さに魅かれ、伝統ある酒文化にどんどん夢中になっていきました。
蔵と生きる決心をした友香さんは、通信教育や講習を受けて日本酒を猛勉強します。広島県の酒類総合研究所に入所し、本腰を入れて学び始めました。友香さんの本気度が伝わると周囲の目が変わり、酒造りに必要な情報を教えてもらうようになりました。
研究所には6年間通い続けました。ついに2006年、若波酒造の8代目杜氏に就任します。
福岡特産の高級いちご「あまおう」を使ったリキュールのお酒など、就任当初から精力的にヒット商品を開発し、進化し続けてきました。
「チーム若波」によってリニューアルした「若波」
友香さんの弟の今村嘉一郎さんも東京の会社から実家の蔵に戻りました。(後に4代目当主就任)友香さん、弟の嘉一郎さん、そして後に9代目杜氏となる庄司隆宏さんら、5名の若い蔵人が集まって「チーム若波」が始動します。
チーム若波による酒質設計の改良で、既存の「若波」は限定流通商品として生まれ変わりました。こうして「味の押し波・余韻の引波」 の味は完成しました。
口に含むとしっかりと旨味が押し寄せ、スッと引いて穏やかな余韻を感じさせる味わい。新くなった「若波」は世間に発信され、やがて注目を集めて行きます。
県下の品評会で認められ数々の賞を受賞!
2008年、純米酒「若波 縁(en)」が福岡国税局酒類鑑評会で優等賞を受賞し、九州の女性杜氏として初の快挙を成し遂げます。
福岡県酒類鑑評会は、県下の酒蔵の切磋琢磨と振興のため、福岡県の共催と福岡国税局の後援で開催されます。
※ 福岡国税局管内(福岡県、佐賀県及び長崎県)
※ 各部門で成績上位のものが金賞。うち特に優秀と認められるものに、
福岡県知事賞、福岡県議会議長賞を1点ずつ授与。
2012年から始まった福岡県酒類鑑評会では、「若波」大吟醸が初代県知事賞を受賞。以降も毎年金賞に輝き、安定した品質で定評を得てきました。
2019年は、福岡国税局酒類鑑評会で「特別純米酒、蜻蛉~赤蜻蛉~」が大賞を受賞しました!
記念すべき令和元年・福岡国税局酒類鑑評会 純米酒の部において「特別純米酒 蜻蛉~赤蜻蛉~」が最高位の「大賞」を頂きました。
福岡・佐賀・長崎、北部九州の純米酒において1位!
最高位です!トップです!トロフィーです!!
同じく、青地に青箔の「若波 純米酒」も堂々の「金賞」受賞。
引用:若波ブログ
多岐にわたる友香さんの長年の取り組みや、蔵元のチームワークが実を結んだ素晴らしい出来事ですね。
銘酒だらけの九州で、純米酒で堂々1位!並々ならぬ努力の結果ね!
杜氏になって初めて手掛けた「あまおう~苺のお酒~」
8代目杜氏になって初めて友香さんが手掛けた、福岡名産の「あまおう」を使った日本酒。
苺は酸化しやすい性質のため、酒造りには適さないとされてきました。友香さんの案に対し周囲が大反対するほどだったそうです。
それでも、無添加かつ美味しいリキュールを造りたいと信念を貫く友香さん。あきらめない気持ちと強い思いに突き動かされ、協力者が増えていきました。
試行錯誤して一年、やっと納得できるお酒「あまおう~苺のお酒~」は出来上がりました。反対されたところから応援者を得て成功させるまでの求心力と熱意はすごいです!
(友香さんの向上心はそれだけにとどまらず、2009年には本場リキュールを学ぶためカシス仕入元へ渡仏して勉強されています。)
商品化されている日本酒ベースの本格和リキュール。九州特産品を活かした”Qdamon(くだもん)シリーズ”として、各県の個性ある食材が使われています。
最初のあまおう開発から始まった技術はしっかり受け継がれ、あまおう(福岡)、うめ(福岡八女)、ゆず(大分)、ヨーグルトン(大分由布)、グアバ(宮崎)と展開しています。
地元や九州全体まで視野に入れて、風土の魅力を伝えようとされているんですね。
初めて開発に成功したあまおうが、今も商品化されていることに感動するよ!
ぜひ飲んでみたいよね!
女性杜氏がもたらした蔵の変化
友香さんが杜氏になり、若波酒造の体制にも大きな変化がありました。
女性に合わせて箱を小さくし、重い物の運搬に台車を取り入れたりなど、体への負担を軽減しました。そのおかげで男性にとっても作業しやすくなったそうです。
夏にはラベリングしていたパートの女性が冬の酒造りに自ら加わり、女性が積極的に蔵に入って関わるようにもなりました。繁忙期の勤務時間も柔軟に対応し、従業員をバックアップしました。
友香さんは、職人の資質に性別は関係ないと考えていらっしゃいます。男女の役割を決めつけることなく、個性や適性に配慮して仕事を任せていき、誰もが活躍できる会社を目指されているそうです。
酒造りだけでなく、蔵元の未来に確固たるビジョンを描かれる杜氏、かっこいいですね。
女性に配慮した職場環境が、男性にも働きやすくなって素晴らしい効果だわ!
蔵を支える人々を意識した組織改革
日本酒では九州初めての女性杜氏だと話題になる一方で、酒造りは蔵を支えるすべての人たちのおかげがあってこそという気持ちもあり、血縁ではない方から次期杜氏を選んだという友香さん。
それが広島県での研究所時代の同期であられる庄司隆宏さんです。
社長で弟の今村嘉一郎さん。姉で8代目杜氏兼製造統括の今村友香さん。そして友香さんが信頼をおいて引き入れた9代目杜氏の庄司隆宏さん。若波酒造はこれからも三本の矢で邁進されて行きます。
常識にとらわれず、長期的な全体の豊かさや明るい展望を見据える若波酒造さんに、今後も目が離せませんね!
蔵元に関わる人々を大切にしているのね!
まとめ
- 「若波酒造」で九州の日本酒蔵初めての女性杜氏が誕生。
- 蔵元のある福岡県大川市は筑後平野の中央に位置する九州最大の筑後川の豊かな水と土壌の恩恵も受けている米どころ。
- 若波酒造の由来は、筑後川の若々しい波。主力商品「若波」のコンセプトは「味の押し波・余韻の引波」
- 実家の日本酒造りに感動し、酒造りを決意した8代目杜氏兼製造統括、今村友香さん。
- 弟の嘉一郎さん、9代目杜氏庄司隆宏さんら、5名の若い蔵人「チーム若波」が始動、既存ブランド若波を刷新(なめらかで軽やか、上品な果実味とキレのよさが特徴)
- 2008年、純米酒「若波 縁(en)」が福岡国税局酒類鑑評会で優等賞を受賞し、九州の女性杜氏としては初の快挙。
- 「あまおう~苺のお酒~」は、開発に一年かけたこだわりの和リキュール。その後九州名産品を使ったリキュールも展開。
- 個性や適性で仕事を任せていき、誰もが活躍できる会社を目指す。
いかがでしたか?
豊かな筑後川のもとで生まれ変わった「若波」。熱心に酒造りに向き合い続ける女性杜氏たちの意欲的な姿は、存在感のある「若波」の味わいに凝縮されていることでしょう!
ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
日本にはこんなに素晴らしい女性杜氏がいるんだって、知れてよかった~!
サイト管理人プロフィール
- 名前:KAZU
- 正体:普段は会社員として働いている、しかし仕事をしながらも頭の中では日本酒のことしか考えていないウマヅラ男
- 保有資格:唎酒師
- 趣味:日本酒を飲む、日本酒を眺める、日本酒飲みながら風呂に入る、飲んだ日本酒のラベルをコレクションする
- 覚醒のきっかけ:寒い冬の夜に飲んだ熱燗があまりにも美味しく、そこから私の日本酒愛が始まった
- 詳しいプロフィールはこちら→【プロフィール】日本酒が変態的に好きすぎる男
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唎酒師(ききさけし)の資格を持つウマヅラの男。どうも日本酒の変態 KAZUです。寝ても覚めても日本酒のことばかり考えて生活中。
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