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「山廃」「山廃仕込み」という言葉を聞いたことはありますか?
お酒をよく飲む方でも、聞いたことある方は少ないと思います。しかも、漢字の並びを見ても、何を意味しているのか全然想像つきませんよね・・。私も初めて見た時は何のことか全く分かりませんでした。
しかし、お酒詳しくなりたい・日本酒の種類についてもっと知識を深めたいという方には、是非とも理解してもらいたい用語になります。
この記事では、メインテーマである山廃について解説する前に、知っておくべき用語を2つ紹介します。そのあと、山廃について解説していきます。
今回の記事を読んで、内容について理解し、今度山廃という言葉を見つけた時には誰かに説明できるようになるとカッコいいかもしれません!
Table of Contents
山廃を知る上で重要な単語
酒母
日本酒を作る工程の中に、酒母作りという工程があります。日本酒作りの工程については、以下記事を参考にしてくださいね。
そもそも酒母とは、「酒の母」の漢字から想像できる通り、日本酒を作る土台となる重要な液体です。蒸米・麹・酵母・水・乳酸によって酒母が作られます。
酒母作りは、アルコールの生成に必要な酵母を繁殖させるための工程になります。酵母は非常にデリケートなもので、微生物や雑菌に弱いです。一方で、酸には強いという特徴があります。反対に、微生物や雑菌は酸に弱いので、酒母を酸性に保つことで菌の侵入を防ぎます。
そこで、乳酸菌を用いることで、酵母を酸性の状態で保ちます。その際、乳酸菌をどのように投入するかによって、2種類の酒母ができます。
- 速醸系酒母
人工的に作られた乳酸菌を投入して作られた酒母です。現在の日本酒の主流で、約9割の日本酒が該当します。酒母造りに必要な期間は約2週間です。
- 生酛系酒母
酒蔵の中に元々いる自然の乳酸菌を用いて作る酒母で、伝統的な方法です。酒母造りに必要な期間は約3週間から1ヶ月と、速醸系酒母よりも時間がかかります。
山卸
酒母に入っているお米をすりつぶす作業を指します。先程説明した生酛系酒母を作る際に必要な作業です。
当時は精米の技術がまだ未熟であったため、お米が溶けるまでに非常に時間を要していました。時間が掛かるということは、その分酒母に雑菌などが混ざって酒母造りが上手くいかない可能性が高まります。そこで、時間短縮のために、すりつぶす作業を実施していました。
米を櫂棒(かじぼう)で丹念に、繰り返しすりつぶす作業で、職人が冬の寒い夜に夜通しかけて行われるため、肉体的に非常に負荷のかかる作業でした。
この山卸の作業を経て作られた日本酒は「生酛造」と呼ばれ、現在の日本酒の2%程度と、貴重な種類となっています。職人のこだわりの詰まった日本酒だと言えますね。
山廃とは
この、“山卸”という重労働だった工程を”廃止”した酒造方法が、山廃になります。明治末期から始まった酒造方法で、精米技術の進化によって、お米をすりつぶさなくても山卸をした時と同じ味ができるようになりました。この方法により、肉体的な負担が軽減し、時間も短縮されました。
山廃造の日本酒は、日本酒全体の8%程度です。
山廃造の日本酒の特徴とおすすめ商品
山廃造の日本酒は、濃厚で深みのある味わいが特徴的です。おすすめの飲み方としては、より旨味を感じることができる熱燗で飲むことです。
また、山廃造でおすすめの日本酒を紹介します。「菊姫」という日本酒です。日本酒業界で初めて「山廃仕込」と表示された純米酒です。山廃造の最初の1本として、是非飲んでみて下さい。
まとめ
今回の記事では、あまり聞き馴染みのない「山廃」という用語について説明しました。
山廃について理解するために必要な単語は、
- 酒母:アルコールの生成に必要な酵母を繁殖させたもの
- 山卸:酵母に入っているお米をすりつぶす作業
の2つになり、
- 山廃:山卸の工程を廃止して作った日本酒のこと
- 山廃造の日本酒は、濃厚で深みのある味わいが特徴
日本酒の中には、昔ながらの方法で製造しているものがあることがわかりました。今後日本酒を選ぶときに、「生酛造」「山廃造」を見つけた時は、生産者の方が時間と手間をかけて作ったということを感じながら飲むと、より一層旨味が増すかもしれませんね!
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- 正体:普段は会社員として働いている、しかし仕事をしながらも頭の中では日本酒のことしか考えていないウマヅラ男
- 保有資格:唎酒師
- 趣味:日本酒を飲む、日本酒を眺める、日本酒飲みながら風呂に入る、飲んだ日本酒のラベルをコレクションする
- 覚醒のきっかけ:寒い冬の夜に飲んだ熱燗があまりにも美味しく、そこから私の日本酒愛が始まった
- 詳しいプロフィールはこちら→【プロフィール】日本酒が変態的に好きすぎる男
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唎酒師(ききさけし)の資格を持つウマヅラの男。どうも日本酒の変態 KAZUです。寝ても覚めても日本酒のことばかり考えて生活中。
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