なぜ宮崎で日本酒を造る酒蔵は二蔵しかないのに名酒が生まれるのか?

日本酒の変態 KAZU

唎酒師(ききさけし)の資格を持つウマヅラの男。どうも日本酒の変態 KAZUです。寝ても覚めても日本酒のことばかり考えて生活中。

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宮崎といったら、どんなお酒を思い浮かべますか?おそらく、日本酒より真っ先に焼酎を思い浮かべるのではないでしょうか。

その中でも思いつくのが、霧島酒造の「霧島」「黒霧島」、そして雲海酒造の「日向木挽」「木挽BLUE」といったところでしょう。

とくに「黒霧島」は、ナインティナインの矢部浩之さんが過去の某番組で「うまい!」と発言してから全国的に注目されるようになりました。

さらに、女優の吉田羊さんのCMでおなじみの「木挽BLUE」の大ヒットにより、宮崎県といったら「焼酎」というイメージが定着しました。

今では、霧島酒造と雲海酒造もCMに芸能人を起用していますよね。それだけ、売上高が上がっているということではないでしょうか。

そんな焼酎のイメージが強い宮崎県なのですが、「日本酒を造っている酒蔵はあるの?」と思いますよね。

それが、宮崎県にも日本酒を造っている酒蔵はあるのです。しかも、宮崎の日本酒は焼酎にもひけをとらず、どの日本酒も素晴らしいものばかり。

今回は、宮崎で日本酒を造っている酒蔵と代表する名酒をご紹介したいと思います。

酒造と酒蔵の読み方や役割の違い

酒造と酒蔵の違いはわかりますか?私は以前、酒造と酒蔵の違いはないと思っていました。ぶっちゃけ「漢字が違うだけで意味は同じもの」だと思っていたのです。

しかし、読み方も違うし酒造と酒蔵の役割もちがうのです。こちらでは、酒蔵の読み方や酒造と酒蔵の役割についてご説明いたします。

「しゅぞう」と読んでしまいがちな酒蔵の読み方は?

酒蔵という漢字はどのように読むのかわかりますか?酒造も酒蔵も「しゅぞう」と読んでしまいがちですよね。

恥ずかしながら、私も以前は酒蔵のことを「しゅぞう」と読んでいた時期がありました。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、実は酒蔵は「さかぐら」と読むのです。

私の場合、日本料理店に勤めている友人から「さかぐらと読むんだぞ!」と教えてもらったことがありました。今思えば、何も知らずに「しゅぞう」と連呼していたことが恥ずかしいですよね。

どちらの漢字も「しゅぞう」と読んでしまいがちですが、実は役割も違うのです。

酒造と酒蔵の役割とは?

酒造は、「酒造り」という文字どおりの酒を造ることを意味します。酒蔵は、酒を醸造、貯蔵するための蔵(くら)を意味します。だから、「さかぐら」と読むのですね。また、酒造りは酒蔵の中で行われます。

酒造りについては、こちらで詳しくご説明しています。

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宮崎特産の酒米「はなかぐら」、高千穂産酒造好適米「山田錦」

ご存じかと思いますが、日本酒を造るのには酒米作りが重要になりますよね。しかし、九州南部は活火山が多く存在しているため、その多くの面積が稲作に向いていないシラス大地となっています。

稲作に向いていないシラス大地でも、酒米の栽培方法や工夫により宮崎特産の酒米などが作り出されているのです。それにより、宮崎でも宮崎産の酒米を使用した日本酒が造られるようになりました。

こちらでは、宮崎で作り出された代表的な酒米をご紹介します。

宮崎特産の酒造好適米「はなかぐら」とは?

宮崎特産の酒米「はなかぐら」は、1990年に宮崎県総合農業試験場作物部育種科で作り出され、2003年に品種登録された酒造好適米です。※酒造好適米とは、日本酒造りのために作られたお米のことを指します。

はなかぐらは、南海113号と山田錦を掛け合わせて作り出されました。この酒米は、小清水栽培(こしみずさいばい)という栽培方法を取り入れて作られています。

それにより、稲作に適さないシラス大地でも栽培しやすくなり、甘みの強い酒米となっているのが特徴です。

宮崎産の日本酒を飲むなら、宮崎で造られた酒米「はなかぐら」を使用した日本酒を飲んでみたいですよね。

高千穂産の酒米「山田錦」

酒米として評価の高い山田錦は、1923年に兵庫県の農事試験場で作り出された酒造好適米です。かなり昔から作り出された酒米であり、今では「酒米の王」ともいわれているようです。

東北から九州地方までほぼ全国的に栽培されており、宮崎では高千穂地域で栽培されています。おもに、千徳酒造の日本酒の原料として使われています。「大吟醸 向洋」「夢の中まで」「千徳純米酒」など。

高千穂産の山田錦を原料としている日本酒も試してみたいですね。

宮崎県で唯一の日本酒専門の酒蔵、千徳酒造

引用:千徳酒造HP

千徳酒造は、明治36年に創業した歴史ある酒蔵であり、宮崎県では唯一日本酒だけを造り続けている酒蔵です。

千徳酒造は宮崎県の北部、延岡市にある大瀬川の近くに酒蔵を構えています。ちなみに、宮崎県の北部と五ヶ瀬町には、日本最南端のスキー場、「五ヶ瀬ハイランドスキー場」があります。

温暖な宮崎でも北部の方は寒く、冬場は雪が降ることもあります。そういう土地柄も日本酒造りに向いているのかもしれません。

高千穂産の山田錦を使って金賞を受賞したこともあり、過去10年間で4回「全国新酒鑑評会」で金賞を受賞しています。

宮崎県では、焼酎を造っている酒蔵多い中での快挙ではないでしょうか。この酒蔵には、かたくなに日本酒だけを続けるこだわりを感じます。

千徳酒造の代表作をご紹介

千徳純米酒

日本人の源である米。
その旨みを1滴、1滴に封じ込めた飲みごたえのある純米酒。

引用元:千徳純米酒HP

夢の中まで

酒造好適米山田錦を50%以下になるまで磨き上げ、総米700kgを手洗いし、米と米麹だけで醸したさわやかな口あたりのお酒です。

引用元:千徳酒造HP

大吟醸 向洋

吟醸酒がいだくフルーティで華やかな香り、すっきりとした淡麗な味をお愉しみいただける辛口のお酒です。

引用元:千徳酒造HP

千徳酒造、各代表作のツイートはこちら

千徳酒造の「夢の中まで」は、金賞を受賞しただけに飲んでみたいですよね!メロンのような香りがして「美味しすぎて危険」とは、どれだけ美味しいのかと思いますよね!

日本で初めて「そば焼酎」を造り出した雲海酒造

もう一つ、焼酎「日向木挽」「木挽BLUE」でおなじみの雲海酒造。雲海酒造も日本酒を造り出している酒蔵です。1967年創業で、日本で初めて「そば焼酎」を造り出した酒造会社でもあります。

2016年には、日本の焼酎メーカー全体で3位の売上高を達成しています。これは、「日向木挽」「木挽BLUE」の大ヒットにより達成したのではないでしょうか。雲海酒造の「大吟醸 登喜一」も、平成29年度の全国新酒鑑評会で金賞を受賞しています。

雲海酒造といえば蔵元 綾 酒泉の杜

雲海酒造といえば、宮崎県東諸県郡綾町にある観光名所となっている「蔵元 綾 酒泉の杜」。蔵元も見学でき、焼酎や日本酒などの試飲もできる施設です。※現在、試飲は休止中のようです。

また、お土産コーナーやレストラン、温泉施設、ガラス工房などもあります。もちろん、お土産コーナーでお酒も購入できます。宮崎にお越しいただけたら、ぜひお立ち寄りください。家族でも楽しめる施設ですよ。※新型コロナウイルス感染防止対策を行っているため事前にご確認ください。

蔵元 綾 酒泉の杜のホームページはこちらです。

蔵元 綾 酒泉の杜までの時間

宮崎駅から車で県道17号経由で約40分

宮崎駅から車で国道10号経由で約40分

雲海酒造の代表作をご紹介

本醸造 初御代(ハツミヨ)1800ml瓶・720ml瓶/15.5度

手間ひまかけて醸した本醸造酒。
優しい香りと磨かれた端麗な味わい。キレのある飲み口のすっきりタイプ。

引用元:雲海酒造HP

純米酒 菊初御代(キクハツミヨ)1800ml瓶・720ml瓶/15.5度

米と米麹だけで造られており、米本来の上質な旨味が特徴的。
芳醇な 香りの中にもコクとキレを追求した、甘みのある味わいの純米酒。

引用元:雲海酒造HP

本醸造 初御代 生酒300ml瓶/13.5度

火入れを一切行わず蔵内の味をそのまま詰めた本醸造・生酒。
すっきり本生、旨みのある辛口。
※要冷蔵

引用元:雲海酒造HP

雲海酒造、各代表作のツイートはこちら

雲海酒造の「初御代」。私は、とろっとした舌ざわりが好みなので、ぜひ飲んでみたいです!宮崎の日本酒もどれも魅力的なものばかりですね!

宮崎の日本酒に合う肴

宮崎といったら地鶏の炭火焼き。地鶏の炭火焼きには、キレの辛口の日本酒が合います。アクセントに柚子胡椒を添えるのもおすすめ。

ジューシーな鶏肉のうまみとピリッとした柚子胡椒のアクセントが絶妙で、それを辛口の日本酒で流し込む。もう、クセになること間違いなし!

宮崎でお酒を飲むときは、地鶏の炭火焼きは定番のメニューとなっています。私も飲みの席では、必ず地鶏の炭火焼きを頼みます。

地鶏の炭火焼きにならぶ宮崎を代表する鳥料理、鳥のたたき。甘みのある九州しょうゆでいただく鳥のたたきも日本酒にピッタリです。アクセントにしょうがやニンニクを添えるのもおすすめ。

私も飲むときには、地鶏の炭火焼きと鳥のたたきは外せないメニューとなっています。日本酒を飲む際は、ぜひお試しください。

まとめ

  • 酒造と酒蔵は、ともに「しゅぞう」と読みがちだが、酒蔵は「さかぐら」と読む。また、酒造と酒蔵ではそれぞれ役割も違う。
  • 宮崎県の大部分が、稲作に向いていないシラス大地なのだが、栽培方法や工夫により宮崎特産の酒造好適米「はなかぐら」が誕生した。また、高千穂産の「山田錦」も栽培されている。
  • 千徳酒造は、宮崎県で唯一日本酒のみを造っている酒蔵である。過去10年間の間に、4回「全国新酒鑑評会」で金賞を受賞している。
  • 雲海酒造は、焼酎の「木挽BLUE」のイメージが強い酒蔵だが、雲海酒造の「大吟醸 登喜一」も平成29年度の「全国新酒鑑評会」で金賞を受賞している。
  • 宮崎県産の日本酒に合う肴をご紹介。宮崎の日本酒には、宮崎の地鶏を使った地鶏の炭火焼きや鳥のたたきがおすすめ。

いかがでしたでしょうか。

焼酎が有名な宮崎県でも、日本酒を造っている酒蔵はあります。その中でも、千徳酒造は、唯一日本酒だけを造り続けている酒蔵です。雲海酒造は、日本酒と焼酎の両方造っています。

酒米作りに不向きなシラス大地でも栽培方法の工夫により、宮崎特産の「はなかぐら」や高千穂産の「山田錦」といった酒造好適米を作り出しています。

それにより、今回ご紹介した千徳酒造、雲海酒造から名酒が生まれているのです。千徳酒造と雲海酒造が全国新酒鑑評会で受賞した「夢の中まで」と「大吟醸 登喜一」、飲んでみたいですよね。

宮崎の日本酒を飲む際は、宮崎の地鶏を使った料理も合いますのでおすすめです。

ぜひ、宮崎の酒蔵が造ったすばらしい日本酒をお試しください。

サイト管理人プロフィール
  • 名前:KAZU
  • 正体:普段は会社員として働いている、しかし仕事をしながらも頭の中では日本酒のことしか考えていないウマヅラ男
  • 保有資格:唎酒師
  • 趣味:日本酒を飲む、日本酒を眺める、日本酒飲みながら風呂に入る、飲んだ日本酒のラベルをコレクションする
  • 覚醒のきっかけ:寒い冬の夜に飲んだ熱燗があまりにも美味しく、そこから私の日本酒愛が始まった
  • 詳しいプロフィールはこちら→【プロフィール】日本酒が変態的に好きすぎる男

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