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日本酒が作られる過程で「火入れ(ひいれ)」という工程があるのをご存じですか?
「火入れ」とはどのようなことをして、「火入れ」があることによってどのような効果があるのでしょうか。
また、火入れをしない「生酒」、一度のみ火入れをして作られる「生詰め酒」や「生貯蔵酒」といった、「生」のつく日本酒の種類とどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、火入れする理由と、火入れ箇所によって変わる日本酒の種類について、それぞれどのような特徴があるのかを解説します。
Table of Contents
火入れをする2つの理由
なぜ日本酒には「火入れ」という工程があるのでしょうか?
簡単に説明をすると、「殺菌」と「品質保持」のためです。早速詳しく見ていきましょう。
そもそも火入れって何?
火入れとは、「加熱処理」をすることです。日本酒の温度を60~65℃に保ち、30分程度湯銭することを「火入れ」と言います。
※温度や湯銭の時間は酒蔵によって異なります。
「火」という文字が入っているため、日本酒を火にかけ、グツグツと煮込んでいるようなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際は低温で行われます。
火入れの仕方は複数あり、作り手や日本酒の種類によって使い分けられてるようです。大窯やタンクにお湯を沸かして、蛇管(じゃかん)と呼ばれるグルグルらせん状に巻かれた長い管を入れ、その蛇管に日本酒を通して行うものや、プレートヒーターと呼ばれる機械で行う方法、瓶燗火入れ(びんかんひいれ)と呼ばれる、瓶詰めしたお酒を湯銭する方法があります。
今朝、蔵の中では瓶燗火入れ中です~! pic.twitter.com/VrOToyNjV9
— 白馬錦のつぶやき (@hkbn_twt) February 22, 2019
火入れする理由①「殺菌するため」
日本酒には15%程度のアルコールが含まれているものが多く、大半の細菌にとっては繁殖しにくい環境です。
しかし、乳酸菌の一種である「火落ち菌」はアルコールに耐性があり、繁殖してしまうと日本酒が白濁し、味わいが損なわれてしまうため、この「火落ち菌」を死滅させるために火入れは大切な作業なのです。
火入れする理由②「品質保持のため」
酵母を発酵して作る日本酒ですが、加熱処理をすることで発酵が止まり、日本酒の品質を一定に保つことが出来ます。
日本酒はとても繊細です。火入れの温度が高すぎると香りやアルコールが飛んでしまいますし、低すぎると充分に殺菌することが出来ません。また、長時間の加熱は日本酒の香りが損なわれてしまうため、火入れ後は急速に冷やす作業が必要です。
火入れ箇所で変わる名称「生酒」「生詰め酒」「生貯蔵酒」の違いとは?
通常2回行われる火入れ
通常、火入れは「濾過した後の貯蔵前」と「瓶詰めをして出荷する前」の計2回行われます。
多くの日本酒は、製造する過程で二度の火入れを行い、品質を安定させた上で、私たち消費者のもとへと届きます。
この通常2回行う火入れを一度も行わないものを「生酒」、貯蔵前のみ火入れを行うものを「生詰め酒」、瓶詰時(出荷前)のみ火入れを行うものを「生貯蔵酒」と呼びます。
生酒(なまざけ/なましゅ/きざけ)
作られる過程で一度も火入れを行わないお酒を「生酒」と呼びます。「生生(なまなま)」や「本生(ほんなま)」と呼ばれることもある、正しく「生」のお酒です。
生酒はフレッシュでフルーティな味わいが特徴です。シュワシュワと発泡感が残るものもあり、さわやかな味わいを楽しむことができます。
開栓後、日に日に変化していく味わうことができるのも生酒の楽しみのひとつです。
生詰め酒(なまづめしゅ)
二度ある火入れのうち、貯蔵前のみ火入れを行い、瓶詰め時には火入れを行わないお酒を「生詰め酒」と呼びます。
秋に楽しむことができる「ひやおろし」も、この生詰め酒に分類されます。
ただし、すべてのひやおろしが生詰め酒とは限りませんので、購入前にラベルの表記を確認してくださいね。
生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)
二度ある火入れのうち、貯蔵前の火入れを行わず、瓶詰時(出荷前)のみ火入れを行うお酒を「生貯蔵酒」と呼びます。
生貯蔵酒は、生詰め酒と比べて生の状態で貯蔵する時間が長いため、生酒の風味を残しつつも比較的保管がしやすいのが特徴です。
品質が安定する火入れ酒と違い、「生」がつくお酒は、劣化がはやいので要冷蔵、開栓後は早めに飲み切ることが大切です。
まとめ
- 火入れとは、日本酒の温度を60~65℃に保ち、約30分程度湯銭すること
- 通常火入れは殺菌と品質管理のために計2回行う
- 一度も火入れしないお酒は「生酒」
- 貯蔵前のみ火入れし、瓶詰め時は火入れしないお酒は「生詰め酒」
- 貯蔵前は火入れせず、瓶詰め時のみ火入れするお酒は「生貯蔵酒」
火入れ回数や火入れのタイミングによって違った味わいや香りが楽しめる日本酒。それぞれの特徴を知ると、ますます日本酒選びが楽しくなりますね。
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- 正体:普段は会社員として働いている、しかし仕事をしながらも頭の中では日本酒のことしか考えていないウマヅラ男
- 保有資格:唎酒師
- 趣味:日本酒を飲む、日本酒を眺める、日本酒飲みながら風呂に入る、飲んだ日本酒のラベルをコレクションする
- 覚醒のきっかけ:寒い冬の夜に飲んだ熱燗があまりにも美味しく、そこから私の日本酒愛が始まった
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唎酒師(ききさけし)の資格を持つウマヅラの男。どうも日本酒の変態 KAZUです。寝ても覚めても日本酒のことばかり考えて生活中。
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